栄養といえば、「カラダを大きくするもの」
「カラダを元気にするもの」
という考え方が主流の時代がありました。
いわゆる「カロリー=栄養」という概念です。
現在は、「カラダが正常に機能するために不可欠のもの」
も栄養素だと考えられていて、飢餓よりも飽食で困っている現状から、
むしろこちら方が大事ではないかと考える専門家が激増しています。
たとえば、一例を挙げると、
炭水化物というのは糖質に食物繊維を加えた呼び方ですが、
食物繊維というのは吸収もされないし、
エネルギーにもならないモノなので、
昔は栄養素の範疇だと考える学者はいませんでした。
つまり「炭水化物=糖分のみ」だとされていました。
食物繊維は「役に立たたない余計なモノ」という認識です。
ところが時代は変わり、今は「食物繊維が少ないから現代病を招いている」
というのが常識になり、食物繊維も立派な栄養素の仲間入りです。
(栄養素をエネルギー源だと考える方面は
食物繊維を栄養素だと認めていませんが、
「栄養とは何か」に対する解釈の問題で、
これから変わっていかざるをえないでしょう)
そのような意味(現代は飽食気味)で、
現在は三大栄養素よりも、「微量な調整栄養素」
が注目を浴びる時代です。
ビタミンやミネラル、食物繊維、
各種の酵素、発酵による菌、フィトケミカル(植物由来の機能性成分)、
こうした微量ですが大事な作用をしている
成分の重要さが分かってきています。
これらを含めて五大+第六、第七の栄養素と
称することもあります。
三大栄養素がクルマのガソリンだとしたら、
その他の微量栄養素はオイルや電気系統システムに
相当すると言えます。
糖質、脂質、蛋白質がなければ動くエネルギーが得られないし、
それ以前に生きられません。
しかし、現代のクルマは電気系統がないとウンともスンともいわないし、
オイルがなければ劣化して壊れます。
基本的な栄養が不足する心配がなくなった現代人も似たようなものです。
そして今は、ガソリンではない電気・水素など新たなエネルギー源を
模索する方向に向かおうとしているクルマ。
ヒトもまた、古典的三大栄養素から
「さらに機能的な新栄養」に向かっているのかも知れません。